WebスクレイピングツールとしてのC#とJavaScriptの比較

このガイドでは、WebスクレイピングツールとしてのC#とJavaScriptを比較することにより、それぞれのメリットとデメリットや、どちらの言語が今後のデータ抽出プロジェクトにより適しているかについて学ぶことができます。
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C# vs JavaScript blog image

本比較ガイドでは、以下の内容について説明します。

  • 2つの言語を比較する理由
  • JavaScriptが提供する機能
  • C#が提供する機能
  • 両者を使用する際の主なメリット
  • 両者を使用する際の主なデメリット
  • 次の点における違い:パフォーマンス、スケーラビリティ、学習曲線、セキュリティ、柔軟性
  • どちらがWebスクレイピングにより適しているか

それでは、さっそく比較を始めましょう!

C#とJavaScriptの比較:2つの言語の紹介

WebスクレイピングツールとしてのC#とJavaScriptの比較を始める前に、これらの言語をよく理解しておく必要があります。

まず、これら2つのプログラミング言語では人気度に差があります。Statistaの調査によると、JavaScriptは現在世界で最も広く使用されている言語です。世界中の開発者の63%以上がこのツールの存在を知っているだけでなく、実際に使用しています。C#も人気ですが、使用率は約27%に留まります。

C#とJavaScriptの主な違いは、それぞれの性質と主なユースケースにあります。JavaScriptは元々スクリプト言語として考案され、ウェブ開発のバックボーンへと進化しました。現在では、ほとんどのフロントエンドおよびバックエンドのフレームワークはJavaScriptで構築されています。

一方、C#はより汎用的な役割を果たすオブジェクト指向言語です。C#では次の内容がカバーされています:コンソールアプリケーション、CLIツール、システムサービス、GUIアプリケーション、.NETを使用したAPI バックエンド、ゲーム開発など

JavaScriptとC#のハイレベルテーブルから、2つの言語を簡単に比較することができます。

Aspect C# JavaScript
構文 やや冗長だが、簡潔で表現力が豊か 必要最低限で直感的
パフォーマンス 妥当なメモリ使用量と優れたパフォーマンス パフォーマンスは良好だが、メモリ使用量が多め
エコシステム 広大なエコシステム、数十万ものライブラリ数 IT業界最大規模、数百万ものライブラリ数
フレームワーク ASP.NET Core React、Next.js、Vue、Angular、Express、Nuxt、その他多数
スケーラビリティ 非常に高い(Azureクラウドプラットフォームでは特に) Node.jsに最適
柔軟性 汎用性があるため、柔軟性も高め 動的タイピングとフロントエンド/バックエンドのサポートによる、非常に高い柔軟性
セキュリティ 全体的に安全だが、メモリリークの危険性あり 柔軟性が高いため、一部の脆弱性あり
Webスクレイピング 一部のライブラリといくつかのオンラインリソースによるサポート 多数のライブラリとオンラインリソースによるサポート

C#:機能とエコシステム

2000年に世界に向けて配布されたMicrosoft作成のC#は、静的な型付けとコンパイルが施されたオブジェクト指向プログラミング言語です。2023年半ばの時点で、開発者の約27%がこの言語を使用しています。これは、C#がIT業界で最も広く使用されている言語のトップ10に入ることを意味します。

主な強みとして、優れたパフォーマンスや最新の機能、 Microsoft.NET エコシステムとのシームレスな統合などが挙げられます。お馴染みがない場合、.NETはMicrosoftがサポートする無料のオープンソースアプリケーションプラットフォームです。

C#パッケージの中央リポジトリであるNuGetは、40万を超える独自のパッケージをホストしています。

C#は主に次の属性により知られています。

  • オブジェクト指向パラダイム:この言語はオブジェクト指向パラダイムに準拠しています。このため、開発者はクラスやオブジェクトを使用して現実世界の概念を表現することができます。C#は、静的型付け言語としてコンパイル時の型安全性も保証します。
  • コンパイル型言語:C#コードはIL(中間言語)にコンパイルされ、CLR(共通言語ランタイム)によって実行されます。このコンパイルプロセスにより、言語全体のパフォーマンスが向上します。
  • ウェブ開発のための.NET:この言語は、世界で7番目に多く使用されているウェブフレームワークである ASP.NET CORE とシームレスに統合します。このため、C#はウェブ開発に最適な選択肢となります。
  • 非同期プログラミング:この言語は、asyncawaitのキーワードを通じ、非同期プログラミングの堅牢なサポートを提供します。これにより、同時操作の管理が容易になります。
  • メモリ管理ガベージコレクターによる自動メモリ管理機能を備えているため、リソース処理が簡素化されます。また、必要に応じ、アンマネージドメモリを手動で管理するためのCのようなポインタもサポートしています。
  • クロスプラットフォーム開発.NET MAUI技術により、C#はWindowsやmacOS、Androidにおけるクロスプラットフォーム開発をサポートしています。
  • オープンソース設計C#設計のGitHubリポジトリは、コミュニティの多大な関与と貢献を誇ります。
  • アクティブなコミュニティ:この言語は、何千ものコミュニティ主導ライブラリやパッケージを備えた、活気のあるコミュニティに支えられています。

JavaScript:機能とエコシステム

「JS」の略称で呼ばれることも多いJavaScriptは、1995年リリースの軽量インタプリタ型プログラミング言語です。この数年間で、JavaScriptはワールド・ワイド・ウェブの基盤技術となりました。その理由としては、フロントエンドとバックエンドの両方で使用できる言語であることが挙げられるでしょう。

ブラウザによるネイティブな理解や実行が可能なため、JavaScriptはフロントエンド開発に最適です。また、Node.jsを使用することにより、サーバーによるJavaScriptの実行も可能です。これは、この言語がバックエンド開発にも適していることを意味します。

ウェブアプリケーションのクライアントとサーバーの両方にて動作が可能な言語はきわめて稀です。これらの点を踏まえると、世界で最も人気な6つのウェブフレームワークすべてがJavaScriptベースであるのも不思議ではありません。JavaScriptがこれほど広く普及している理由は他にもあります!

Node.jsとJavaScriptのパッケージマネージャーであるnpmには、200万個を超えるパッケージがあります。

プログラミング言語としてのJavaScriptの主な特徴は次のとおりです。

  • 実行時コンパイル:通常、実行速度とパフォーマンスの向上のため、JavaScriptは実行時(JIT)にコンパイルされます。
  • 動的型付け:動的型付け言語であるJavaScriptでは、実行時に変数の型を変更することができます。これにより、非常に高い柔軟性が得られますが、C#のような静的型付け言語に比べると実行時のエラー発生率も高くなります。
  • クロスプラットフォーム・ブラウザとの互換性:JavaScriptは、複数のプラットフォームの異なるブラウザでシームレスに実行することができます。
  • 優れた適応性:汎用性が非常に高い言語であるため、フロントエンドやバックエンド、スクリプトタスクなど、ウェブ開発において複数の役割を果たします。
  • 無数のウェブフレームワーク:JavaScriptは、大多数のウェブフレームワークやライブラリ(React、Angular、Node.js、Express、Vue、Next.jsなどを含む)によって選ばれている言語です。
  • ウェブ用にカスタマイズされた標準ライブラリ:JavaScriptとNode.jsの標準ライブラリは、ウェブ開発用に広範なAPIを提供します。これにはDOM操作やイベント処理、 Fetch APIの実装、またAJAX機能などが含まれます。
  • 非同期プログラミング:JavaScriptはasync/await構文を通じ、非同期タスクをネイティブにサポートします。これにより、応答性が高くインタラクティブなウェブアプリケーションを作成することができます。
  • 大規模なコミュニティ:JavaScriptのグローバルコミュニティは、業界で最大かつ最もアクティブなコミュニティの1つです。1700万人を超える開発者と、200万を超えるパッケージ数を誇ります。

C#とJavaScript:メリット

C#とJavaScript、それぞれの主なメリットについて学びましょう。

C#

  • オープンソースの設計アプローチ
  • ウェブ開発からゲームまで、さまざまなアプリケーションをサポート
  • オブジェクト指向の原則に基づいた構築だけでなく、関数型プログラミングの概念を導入
  • .NETのランタイムを通し、複数のオペレーティングシステムで実行可能
  • 堅牢でMicrosoft エコシステムとの統合が可能なため、スケーラブルで大規模な企業用アプリケーションに最適
  • 演算子の多重定義やnull許容参照型、構造体などの機能を提供
  • コードの信頼性向上のための強力な型付け
  • 大多数のMicrosoft開発者に知られる定評のある言語

JavaScript

  • オブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミング、およびスクリプトのサポート
  • ブラウザによりネイティブに実行可能
  • 世界で最も速く解釈される言語の1つ
  • 機能豊富な標準API
  • 直感的で読みやすい構文
  • フロントエンドおよびバックエンド開発の両方に最適
  • 広範なライブラリエコシステム
  • 世界最大規模の開発者コミュニティ

JavaScriptとC#:デメリット

C#とJavaScriptの徹底的な比較のためには、各言語の短所を理解する必要があります。

C#

  • Windows エコシステムとの緊密な連携
  • goto文やポインタ、そしてアンマネージドメモリの割り当てのため、サポートを通した安全でないコードの入力を許可
  • 非チェック例外のみがサポートされ、特定の例外を明示的に処理する必要がないため、エラー処理の堅牢性が低下
  • 小規模または軽量なプロジェクトには不適切
  • コンパイルが必要なため、開発およびテストプロセスに遅延が発生する可能性あり

JavaScript

  • メモリ消費量が多め
  • 動的型付け時に煩雑なランタイムエラーが発生する可能性あり
  • XSS(クロスサイトスクリプティング)などのセキュリティ問題に対し脆弱
  • デバッグが困難な場合あり(特にフロントエンド開発時)
  • ブラウザにより解釈が異なる場合あり

JavaScriptとC#の比較:詳細な分析

Webスクレイピングに特化して2つの言語を分析する前に、まず一般的な観点から評価するのが妥当であると言えるでしょう。ここでの目標は、2つの中で勝者を決めることではありません。そもそも、そのようなことは不可能です。そうではなく、特定の状況を考慮し、最も適した言語を見つけることに重点を置きます。

それでは、C#とJavaScriptの直接比較を始めましょう!

学習曲線

C#は、Javaを始めとする他のオブジェクト指向言語と同様の開発体験を提供します。構文は、表現力と明確さのバランスがよく取れたものとなっています。このため、学習曲線は緩やかであると言えるしょう。Microsoft エコシステムについてすでに知識がある場合は、C#での開発がより簡単に感じられるかもしれません。

JavaScriptも、構文の柔軟性と豊富なオンラインリソースにより、学習曲線は緩やかです。厳密な規則がない動的型付け言語であるため、初心者でも簡単に使用することができます。ただし、非同期プログラミングなど、高度な概念の習得には時間がかかる場合があります。

パフォーマンス

JavaScriptは、V8などの最新エンジンにより大幅に最適化されています。近年における速度や効率の向上により、C#のようなコンパイル型言語との差はもはやなくなったと言えるでしょう。

オンラインのベンチマークによると、大規模なタスクにおいてはJavaScriptがC#よりも高速であるのに対し、小規模なタスクではC#が秀でる傾向にあります。メモリ使用量においては、常にC#がJavaScriptよりも優れたパフォーマンスを見せています。これは、C#のメモリ管理がより効率的であることを意味します。

スケーラビリティ

スケーラビリティは、主にバックエンド開発における懸念事項です。したがって、今回の記事では.NETとNode.jsの比較に焦点を置きます。

C#は、特にMicrosoft エコシステム内で強力なスケーラビリティを提供します。スケーラビリティを最大限に高めるためのベストプラクティスは、.NETをMicrosoftのAzureクラウドプラットフォームやサーバーと一緒に使用することです。C#とAzureの統合により、アプリケーションにおけるワークロードに基づいたシームレスな拡張が可能となります。

Node.jsは、イベント駆動型であり、ノンブロッキング I/Oアーキテクチャを使用しているため、効果的かつ迅速な拡張が実現します。この設計により、多数の同時リクエストを効率的に処理することが可能となります。また、水平スケーラビリティの実現のため、Node.jsはタスクを複数のプロセスに分散するクラスターモジュールを提供しています。

柔軟性

JavaScriptは、動的型付けによって高い柔軟性を提供します。厳密な型指定規則もなく、実行時に変数の型を変更することができます。また、JavaScript エコシステムはフロントエンドとバックエンド両方の開発をサポートしています。この事実だけでも、汎用性が高い証拠となります。

一方、C#は静的型付けと厳密なオブジェクト指向の原則のため、より構造化されていると言えます。ただし、複数のプログラミングパラダイムをサポートできるという柔軟性は持ち合わせています。

柔軟性の比較においては、JavaScriptが秀でていることが明らかです。反対に、C#はより構造化された開発アプローチを提供します。

セキュリティ

C#は、強力な型付けやコンパイル能力、そして.NETフレームワークによるビルトインのセキュリティ対策により、一般的にJavaScriptよりも高度なセキュリティを提供します。言語の構造が堅牢であり、一般的な脆弱性を防ぐ型安全性という利点を備えています。とはいえ、 goto文などの安全でないコードもサポートしています。

JavaScriptは、インタプリタ型の動的型付け言語であるため、実行時のセキュリティ問題の影響をより受けやすいと言えます。幸いなことに、適切な使用方法と最新のフレームワークにより、JavaScriptのセキュリティを強化することができます。

C#とJavaScriptのどちらがWebスクレイピングに適しているか

さて、ウェブページのデータ抽出のためにC#とJavaScriptが提供している機能について学ぶ準備ができました。

以下は最も強力なC#スクレイピングライブラリの一部です。

  • HtmlAgilityPack:HTMLドキュメントを処理するための.NETライブラリ。これにより、HTMLドキュメントからデータを解析し、抽出することが簡単になります。
  • AngleSharp:CSSおよび不等号ベースのハイパーテキスト(HTML、CML、SVG、MathMLなど)を解析するために設計された.NETパッケージ。
  • Selenium:動的なウェブインタラクションをサポートするブラウザ自動化ツール。C#は公式にサポートされている言語の1つです。
  • Playwright .NET:Webスクレイピングなど、さまざまなブラウザタスクを自動化するためのクロスブラウザ自動化ライブラリ。

:HtmlAgilityPackとAngleSharpは、トップのC# HTML パーサリストの上位2位を占めています。

C#は、静的および動的ウェブサイトをスクレイピングするためのライブラリをそれぞれ提供しています。詳細については、 C# Webスクレイピングガイドをご参照ください。Microsoft言語は、JavaScriptと比べるとリソース効率の点で優れています。しかし、この利点が必ずしもWebスクレイピングに役立つとは限りません。

JavaScriptも、非常に効果的なWebスクレイピングライブラリをいくつか提供しています。

これらのJavaScriptライブラリは人気があるだけでなく、十分な文書化を行っており、あらゆるスクレイピングプロジェクトをサポートします。ウェブ開発に重点を置いているにもかかわらず、これらのパッケージによって、JavaScriptはWebスクレイピングツールとしてC#よりも人気のあるオプションになっています。ただし、Microsoft エコシステムを基盤とする企業においては、技術スタックの一貫性を保つためにC#が好まれる場合もあると言えるでしょう。

参考文献

他のツールとの比較時におけるC#とJavaScriptのパフォーマンスはこちらをご覧ください。

まとめ

今回のC#とJavaScriptの比較記事では、これら2つのプログラミング言語について知り、それぞれが提供する機能について学びました。JavaScriptとC#の違い、そしてWebスクレイピングにおけるそれぞれのパフォーマンスについて知る機会になりました。

結論として、スクレイピングにはC#とJavaScriptのどちらを選ぶべきでしょうか?どちらをお選びになっても、Bright Dataが必ずお客様をサポートいたします!

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