Webには計り知れない量のデータが含まれています。残念ながら、そのデータのほとんどは構造化されておらず、有意義な方法で活用することは困難です。それが使用されているデータ形式によるものであれ、特定のWebサイトの制限によるものであれ、その他の理由であれ、このデータへのアクセスと構造化には計り知れない可能性があることは否定できません。
そこでWebスクレイピングの出番です。Webからの非構造化コンテンツの抽出と処理を自動化することで、深い知識と競争上の優位性をもたらす素晴らしいデータセットを構築できます。
ただし、Webスクレイピングはいつでも単純という訳ではなく、知っておくべき課題が多く存在します。この記事では、IPブロッキングやCAPTCHAなど、Webスクレイピング時に直面する最も一般的な5つの課題と、それらの問題を解決する方法について説明します。
IPブロッキング
悪用やWebスクレイピングを防ぐため、Webサイトはしばしば特定のクライアント固有の識別子(IPなど)に依存するブロックの仕組みを実装しています。これらのWebサイトでは、設定された制限を超えたり、疑わしい行動を試みたりすると、そのIPがWebサイトにアクセスすることを抑止し、自動Webスクレイピングを効果的に防止します。
Webサイトは、いわゆるジオブロッキング(検出された地理的位置に基づいてIPをブロックすること)や、IPの発信元や異常な使用パターンの検出などのアンチボット対策を実装し、IPを検出してブロックすることもできます。
ソリューション
幸いなことに、IP ブロッキングに対してはいくつかのソリューションがあります。最も簡単なのは、Webサイトで設定された制限に合わせてリクエストを調整し、リクエストレートと使用パターンを制御することです。残念ながら、これでは一定時間でスクレイピングできるデータ量が大幅に制限されます。
よりスケーラブルなソリューションは、IPローテーションを実装して再試行することでIPブロッキングを回避できるプロキシサービスを利用することです。 Bright Data Web Unlockerのような最高のプロバイダーは、すべてのリクエストに対して高い成功率を保証するより多くの機能を備えています。
とは言っても、プロキシやその他のブロッキング回避の仕組みを使ったWebスクレイピングは非倫理的と見なされる可能性があること注意すべきでしょう。必ず当該地域および国際的なデータ規制に従うこと、実行する前にWebサイトの利用規約(TOS)やその他のポリシーを確認することが必要です。
CAPTCHA
IPブロッキングに加えて、CAPTCHAは「コンピューターと人間を区別するための完全自動公開チューリングテスト」を意味し、もう1つの一般的なボット対策です。CAPTCHAは、ユーザーが簡単なタスクを実行して自分が人間であることを証明するものです。登録フォームやコメント欄など、特にスパムや悪用の影響を受けやすいエリアの保護や、ボットによるリクエストをブロックするツールとしてよく使われます。
画像やテキストから音声やパズルまで、CAPTCHAにはさまざまな形があります。さらに、GoogleのreCAPTCHA v3を含む最新のソリューションは、ユーザーとWebサイトの相互作用のみに基づく、スムーズなボット検出の仕組みを実装しています。このように多様な現状では、CAPTCHAと戦うのは容易ではありません。
ソリューション
Bright Dataスクレイピング・ブラウザのような製品は、CAPTCHAを確実に突破でき、Webスクレイピングを成功させるのに役立ちます。
スクレイピング・ブラウザは、人工知能(AI)と機械学習(ML)を活用して、まずCAPTCHAが実装しているチャレンジの種類を特定し、次に適切なソリューションを適用してチャレンジを突破します。これらの最新技術を使えば、Bright Dataはいかなる種類のCAPTCHAに対しても高い成功率を保証できます。
プロキシサービスやIPローテーションと同様、CAPTCHAには通常理由があって実装されていす。コンプライアンスを維持するため、当該WebサイトのTOSやその他のポリシーに従う必要があります。
レート制限
IPブロッキングとCAPTCHAは、ある意味レート制限を適用する方法です。それに比べて、Webサイトは悪用やさまざまな種類の攻撃(DoSなど)から保護するためにレート制限を用います。制限を超えると、前述の手法を用いてリクエストが制限されるか、完全にブロックされます。
基本的に、レート制限は特定のクライアントを識別し、設定された制限を超えないようにそのクライアントの使用状況を監視することに焦点を当てています。この識別はIPベースで行うことも、ブラウザフィンガープリント(すなわちでクライアントのさまざまな特徴を検出して一意の識別子を作成する)等の手法を使って行うこともできます。ユーザーエージェント文字列またはcookieの確認も識別プロセスの一部になり得ます。
ソリューション
レート制限はさまざまな方法で回避できます。最も簡単な方法は、リクエストの頻度とタイミングを制御して、より人間らしい動作を実装することです(例:リクエスト間のランダムな遅延または再試行)。他の方法としては、IPアドレスのローテーションや各種プロパティ(ユーザーエージェント文字列など)のカスタマイズ、究極的にはブラウザーフィンガープリントのカスタマイズなどがあります。
Bright Dataのようなプロキシは、最良の結果が得られるようにこれらすべてのソリューションとその他のソリューションを備えています。IPローテーション、ブラウザフィンガープリント・エミュレーション、自動再試行などの機能を備えて、レート制限に達することがないようにしています。
Bright Dataは世界最高のプロキシサーバーを管理しており、フォーチュン500企業と20,000社以上の顧客にサービスを提供しています。世界中に広がるプロキシネットワークには以下が含まれます:
- データセンタープロキシ — 770,000を超えるデータセンターIP
- 住宅用プロキシ — 195か国以上で7,200万件を超える住宅用IP
- ISPプロキシ — 700,000を超えるISP用IP
- モバイルプロキシ — 700万を超えるモバイル用IP
動的コンテンツ
速度制限とブロックの他に、Webスクレイピングには動的コンテンツの検出と処理などの課題も存在します。
現在、多くのWebサイトは単純なHTMLではありません。インタラクティブ機能を追加するだけでなく、UIの一部、追加コンテンツ、さらにはページ全体をレンダリングするために多くのJavaScriptが含まれています。
シングルページアプリケーション(SPA)はJavaScriptを使ってWebサイトのほぼすべての部分をレンダリングします。一方で、他の種類のWebアプリはJavaScriptを使ってページを更新または再ロードせずにコンテンツを非同期で読み込むため、無限スクロールなどの機能を容易に実装できます。このような場合、HTMLを処理するだけでは不十分です。
ソリューション
動的コンテンツを表示させるには、JavaScriptコードを読み込んで処理する必要があります。これをカスタムスクリプトに正しく実装するのは難しい場合があります。そのため、ヘッドレスブラウザとPlaywright、Puppeteer、SeleniumなどのWeb自動化ツールの使用がしばしば好まれます。
Bright Dataは専用のスクレイピングブラウザAPIを提供しており、お気に入りのWeb自動化ツールに接続できます。これにより、ヘッドレスブラウザによるスケーラブルなWebスクレイピングに加え、プロキシ機能やブロック解除機能など、Bright Dataプラットフォームのすべてのメリットを活用できます。これにより、動的コンテンツに大きく依存しているWebサイトも簡単にスクレイピング可能です。
ページ構造の変更
Webスクレイピングで直面する可能性のあるもう1つの課題は、ページ構造の変更です。Webスクレイピングパーサーは、Webサイトの構造に関する一連の前提に基づいて構築されている可能性があります。必要なコンテンツだけを抽出する必要があります。しかし、構造に変更が加わると、パーサーが使えなくなるということでもあります。
Webサイトは、あまりWebスクレイパーを考慮せずに構造を変更します。通常はWebサイトを最適化したり、デザインを変更したりするために行われます。Webスクレイピングの観点からは、ページ構造がまたいつ変更されるか知る方法はありません。つまり、このような変更がWebスクレイピングに与える影響を軽減する鍵は、より回復力があり用途の広いパーサーを作成することです。
ソリューション
Webサイトのページ構造の変更に対応するには、できるだけパーサーがページ構造に依存しないようにすることです。主に、変更される可能性が最も低い主要な要素に依存し、構造ではなく実際のコンテンツに依存する正規表現や、さらにAIを使用すべきです。さらに、パーサーの回復力を高めるために、構造の変更やその他の潜在的なエラーを必ず考慮するようにします。また、これらのエラーを記録し、必要に応じてパーサーを更新します。
一連の自動テストを備えた監視システムの実装も検討すべきでしょう。これにより、Webサイトの構造の変更を確実に検出し、期待通りにスクレイピングできていることを確認できます。そうでない場合、通知システムを接続しておけば常に最新情報を得ることができ、Webサイトが変更されたら直ちに対応してスクリプトを更新できます。
優れたパーサーの構築にはBright Data Web Scraper IDEが便利です。Bright Dataインフラストラクチャへのアクセスと、簡単に使い始めることができる既製のテンプレートを備えているため、パーサーの試作とデバッグを迅速に行うことができます。
まとめ
Webスクレイピングでは、あらゆる種類の課題に直面しますが、それらの影響とそれらを克服するために必要な労力の度合いはさまざまです。ありがたいことに、これらの課題の大部分にはソリューションが存在します。Bright Dataプラットフォームはその良い例であり、ここで説明した5つの大きな問題を容易に解決するための完全なツールセットを提供します。
Webスクレイピングを行う際は、該当するデータ規制、WebサイトのTOS、その他のデータポリシー、さらにrobots.txt
などの特別なファイルを必ず尊重してください。これにより、Web サイトのポリシーを順守し、尊重し続けることができます。
自分だけでは克服するのが難しすぎる課題に直面している場合、Bright Dataはそのまま使える最新のデータセットも提供しています。作成済みデータセットを使うことも、ニーズに合わせたカスタムデータセットを依頼することもできます。
Bright Dataのデータエキスパートに相談すれば最適なソリューションが見つかります。